常日頃よりラグビー部・野球部のみならず多くの活動を、現場まで出向き応援の先頭にたってくださる修猷館高校の中嶋利昭館長先生より、観戦記をお寄せいただきましたので、以下に転載させていただきます。
また、修猷館ホームページ・修猷の四季 H21年度11月3段目「抜山蓋世」には、御領園先生から3年生へのメッセージも掲載されておりますので、お時間のある時に是非ご一読下さい。
++++++ 以下 転載文(原文) ++++
力は山を抜き 気は世を蓋う
修猷館高等学校 館長 中嶋利昭
平成18年4月に館長として着任以来、我がラグビー部は東福岡、筑紫の双璧に阻まれベスト8で悔し涙を飲み、幾度となく「輿望は重し」を、心の奥深くで歌ってきた。
輿望は重し修猷の健児 臥薪嘗胆過ぎにし恥辱 いかで雪がん雪がめや 会稽山下のわが選手 立てや奮えや修猷の健児 いでや握らん勝利の覇権 やがて大呼せん勝鬨は 袖が浦曲に響くなり |
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平成21年11月1日、時12時14分、重苦しい暗雲をノーサイドの笛が突き破った。苦節四年、宿敵小倉を33対19で下した一瞬であった。豪華なバックス陣を誇る小倉に対してフォワード戦に持ち込めば、攻守のバランスがとれている本校は、優位に立てるとの前評判であった。如何なる戦略、戦術以上に当日求められていたのは小倉の足を止める大雨であった。
前日は雲一つ無い快晴・・・、深く念じて翌日の朝を迎えた。雨、それもとびっきりの暴風雨、女房が出がけに「こんな天候でも試合をやるの?」と、怪訝そうな目で私を見た。「槍が降ってもやるのがラグビー!」自信満々、この日のために用意した長靴を履いた。
彼の群小を凌駕して 緋の大旆はかち得たり われらが胸の歓びは ここに溢れて八重潮の かの滄溟に湧く如く 喉つんざいて轟くを 轟く歌にわれ立ちて 舞えば寄せ来る夕暮れの 流れは早し袖ヶ浦 砕けて且つ鳴る潮の曲 聞けや山河もひれ伏して 修猷の勝利寿ぐを |
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勝った時こそ大人の振る舞いが要求される。神妙な顔で本部テントに詰めかけていたラグビー関係者にお礼を述べた。
11月8日(日)「筑紫、何するものぞ!」前日の近畿修猷会で大言壮語「今年の冬に花園でまたお会いしましょう!」と宣言し、大阪から深夜にとんぼ返りした身である。『抜山蓋世』とばかりに鼻息も荒く、筑紫戦に臨んだ。
前半、相手を陣地に釘付けにし、猛攻を加え続けた。後一歩、あといっぽ、最後のラインが割れず、百戦錬磨の筑紫の巧妙さにジリジリと点差をつけられ、力及ばず 0-19 で敗退した。
雲一つ無い快晴、神風らしきものも吹いた。しかし、負けた。最善を尽くした者に涙は似合わない。ライトブルーの段柄ジャージを労(いたわ)る一陣の爽やかな風が空を舞った。40年前、高校時代に習った漢文の一節が脳裏に浮かんだ。
力は山を抜き 気は世を蓋(おお)う
時 利あらず 騅(すい) 逝(ゆ)かず
騅 逝かざるを奈何(いか)にすべき
虞(ぐ)や 虞や 若(なんじ)を奈何せん
敗退はしたが、見事な戦いであった。今年のチームが立った位置から新チームはスタートする。一歩、一歩着実に階段を上がって行くことを強く、強く念じている。
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修猷館ラグビー部OBクラブ事務局 松尾邦雄